2014年10月10日金曜日

初めて買ったレコードと、その人生 ~ EARTH,WIND&FIRE

EARTH,WIND&FIREという音楽グループが好きだ。

アメリカ黒人音楽というとJAZZ、そしてSOULだ。
いわゆるSOUL MUSICというと、全盛期は60年代半ばから80年代半ばだろうか。
80年代後半からニュー・ジャック・スウィングという言葉が加わり、そして言葉の生まれたその昔とは少し違った意味で、R&Bと呼ばれる打ち込み全盛の音楽になった。

そんなSOUL MUSICの歴史の中で、アースは1971年にデビューし、未だに現役。

私が初めて買ったレコードは、中学生の時に耳にし衝撃を受け、当時の天王町ニチイ(現SATY)のレコード店で買ったアースの13枚めのアルバム「RAISE!」。

それから次々とアルバムを求め、彼らの歴史を遡り、来日コンサートに足を運び、他のSOUL MUSICも多く聴くようになった。

彼らの音楽は独特だ。
マーヴィンこそSOULと信じて疑わぬ俄SOULファンからはSOULでは無い、と言われるだろう。
それは当然。
彼らがSOUL MUSICという括りにカテゴライズされないサウンドを目指しているから。
しかしメンバー夫々の音楽背景は古典的なJAZZやSOULなのだ。
時として聴こえる泥のようなグルーヴは生まれを隠せない。

が、長寿バンド。
1941年生まれのリーダー、Maurice Whiteは70歳を超えている。
今や他のメンバーも老人と言っても良い年齢だ。
私が聴くようになってからの彼らは既に大きく歳を重ね、年々ヒットチャートから遠ざかり、先端をゆくサウンドにも陰りを隠せなかった。
ファンは胸に重たいものを抱えながら、ニューアルバムを迎えねばならなかった。

2000年過ぎに知り合った九州のSOUL MUSICフリークの御大Kさん。
2003年に「The Promise」というアルバムがリリースされた時にKさんは怖くて聴けないと言った。
今でもそこいらのSOUL Barの店主に負けぬ知識と愛で、多くのSOUL MUSICを聴いていたその人を持ってして、アースは特別で、衰えを感じるのが怖かったのだ。

私はアルバム17曲中16曲めの「Let Me Love You」の感想を伝えた。
Kさんは「分かった、、」と返事をくれて、以後そのアルバムを手にしたか分からない。

その同年、アースの一部のメンバーが突如「Audio Caviar」というグループで「Transoceanic」というアルバムをリリースした。
最近知ったが、先のThe Promiseとこのアルバムのジャケット・デザインはアースのアルバムを手がける長岡秀星、横尾忠則につぐ3人目の日本人、Morito Suzukiというグラフィックアーティスト。
この手法もアースそのままだ。

そしてそのサウンド。
Audioと言う通りHi-Fiを意識した現代的な音質、Caviarと言うだけに贅沢なサウンド構成。
アースの汗尽きるまで踊るのとは違う、いわゆるスムースジャズと言われるような音。
IvanLinsをフィーチャリングしたブラジリアンテイストがあるのもアースそのまま。

と静かに聴き進めて行くと、15.Dominiqueで、はらはらと涙が落ちた。
クレジットを見ずとも、ヴァーダイン・ホワイトのベースだと分かる。
アル・マッケイのギターが聴こえる。
フィリップ・ベイリーのコーラスは言わずもがな。
咽びながら5分03秒が過ぎた。

EARTH,WIND&FIREは姿を変えながらいつも私の近くにいるのだ。

2014年9月15日月曜日

ヘッドフォン演奏家という人がいたならば■Marantz HD-DAC1試聴記

ひと月ぶり位かな、と思っていたらひと夏が過ぎていた。
その間に人々は私より何歩も先へ進んでいるのである。
あぁ恐ろしや、私の鈍感度。

そしてどこから知り申し込んだのかも忘れてしまったけれど、(株)音源出版さんのWebサイト、Phile-web主催のオーディオ機器新製品発表会へ行ってきた。

対象はオーディオ製品の中で現在唯一と言って良い盛り上がりを見せるヘッドフォンアンプ、そしてDAC(D/Aコンバーター)を組み合わせたMarantzの新製品「HD-DAC1」。

三連休の真ん中、行って来ましたD&Mホールディングス本社内のMarantzさん。

相模大野や横浜ビジネスパークにメンテ部門があった時には何度かお邪魔したけれど、今は川崎。
玄関をくぐると兄弟会社DENONの製品等と一緒に主要製品が展示されている。 

まず会議室のような部屋に通され、そこで製品説明のプレゼン。
集まった16名は皆さん私より歳上な感じ。

プレゼンの前後に新製品を見たり

触ったり

そしてHD-DAC1のDAC部を使っての試聴。
この部屋はMarantzの音決めの大切な部屋。
開発者の方の名前を冠して「澤田ルーム」というらしい。
社内の面々も滅多に入れない部屋は、社有リソース私物化のと言ったら怒られそうなやりたい放題な部屋。

バイワイヤリングの4本の純銀スピーカーケーブルで700万円と言ってたか、もうこれはある意味コンプライアンス違反でしょ、と言いたくなるような、国会で是非が問われそうな

キチンとアナログレコード環境もある。
国宝製品、テクニクスSP-10MarkIII。
CD置き場化されていたけれど、、

そしてこの出音が弩級だった。

何度か行ったオーディオフェアや公会堂を借りての試聴会で、良い印象を受けた事が無かったのだけれど、ここの音は異次元。
HD-DAC1云々以前に、全てを整えるべく整えた環境の出音の総合力は音声再生技術のひとつの答え。

我が部屋のシステムもかなりのものだが、さすがメーカーリファレス室はヤリおるわい、、と感心しながらも、出音はやはり会社の中のひと環境、個人ではなく公人を感じたり、ふむふむと短い試聴時間が終了。

そして次に元のプレゼン室に戻りHD-DAC1をヘッドフォンアンプとして、ヘッドフォンを用いて試聴。
環境はMacBook又はCDPのSA8005>HD-DAC1>ヘッドフォン(試聴用にはHD-800)。

私はUSBメモリーにLPレコード音源を96/24で録音したものを持参。

一聴してヘッドフォンで聴く時の閉塞感が無い。
遅ればせながら、最近になり全うなヘッドフォンアンプとはこういう癖の無さがあると知った。

今まで
・ヘッドフォンなんてスピーカーに比べたら、
・聴き疲れするし、
と斜めに関わってきたのだけれど、こういう出音なら頭の上の物理的存在さえ許せれば、音を受け入れる事には何の問題も無い。
音場感も素晴らしいし、長く聴くこと出来る。
自室を大音量で満たすリスクとの天秤は確実に傾いたのである。

本機で面白かったのはインピーダンスマッチング機能。
スピーカーは多くが6~8Ωのインピーダンス。
それがヘッドフォンは数10~数100Ωと幅が広い。
それに合わせるための切り替えがあるのだけれど、主にフィードバックを可変させて対応させているとのこと。
そのフィードバック量により音色になかり変化があり、低フィードバック=奔放、高フィードバック=堅実、というような出音になるため、インピーダンスマッチングというより、音色セレクター的に楽しんで使ってもらいたい、とのこと。

この手の製品は価格帯、機能の組み合わせで百花繚乱・戦国区域だけれど、HD-DAC1は頃合いのいいところを突いていると思った。

会が終わって思ったのだけれど、この会は若い人に是非聴いてもらいたかった。
30年前にSONYがAPMスピーカーをデビューさせた時の日本中で行った発表会を思い出し少し残念。

しかしこれは私が購入し、近い人達に啓蒙しろという神の啓示であろうか。
オソロシイことである。
今回の視聴者には超特価モニター価格販売特典を望みたいほど欲しくなった逸品であった。

2014年5月3日土曜日

初夏のグランド・ツーリング ~ 旅の尺度は1/1

母が運転免許証の更新をせずに返納した。
運転免許証に本籍が載らなくなった今、身分証明書としてはパスポートより劣るし、もはや何をを証明する年齢でもなく。

むしろ何より乗り物に乗らず歩くのは良い。
歩けなくなったらお終いだ。

ということで、ヤマハPassolに続き乗って(持って)いたスクーター、SUZUKI Choi-Noriが宙ぶらりんになった。

自分や兄弟、近所の仲間も既に腰が重く、誰も乗りそうに無い。
その時とある所でアシの下駄車を探しているという人に会った。
利害関係一致。

今日、これからこのマシンを引き継ぐ。
引き継ぎに先立ちこのマシンの紹介をしよう。
SUZUKI CZ41A チョイノリ
スズキ(株)の威信をかけて作られた低くシンプルなフォルム。
乾燥重量はレギュレーション最低重量の39kgまでに絞られている。

走行距離はたったの429km。
走行毎に日石三菱ProSPEC-4Tレーシングオイルを入れ替え、マイクロロン処理を施し、やっとバーンインが終わったばかりだ。
フューエルはプレミアムガソリンオンリー。
外観はほぼ新車状態を保っている。

車体に合わせ低くまとめられたフロントフェアリングは、オーバー300km/hの速度域からライダーを守る。

MoviStar Telefonicaのスポンサードを受けると共に、加藤大治郎選手に敬意を表す。

フットエリアはライディングポジションの自由度が高いステップスルータイプで、荷重移動も容易である。

エンジンカバーは、チタンやマグネシウムの重量をも凌ぐ、エンプラ(Enjiniringu Plastic)製である。
そして究極の軽量化を求めた結果、何とエンジン内のカムまでエンプラを採用している。

昨今のグランプリシーンですっかりお馴染みになった、車体裏に取り回されたショートマフラーは、最高の排気効率を約束する。


前後とも10インチ径2.15インチ幅の超軽量プレスホイールと80/90サイズのスクエア扁平のタイヤが、2.0ps/5,500rpmのパワーを支える。

正立テレスコピック式フロントサスペンションはトップスピードからの減速を確実に支える。

サスペンションを配さない、リジッドリアセクションはエンジンパワーを確実に路面へ伝える。

オートバイの説明はコレくらいにして、早速スタート。

あっという間に新横浜。
今日は暑い。

そしてすぐに日大日吉前。
初夏の新緑だ。

労災病院前から武蔵小杉の高層マンションが見えて来た。
運行は極めて順調。

多摩川の丸子橋。
もう都内へ。

チョイノリはとても調子が良い。

変速機の無い遠心クラッチのみでエンジンとリアタイヤが直結されている。
そのリアタイヤはノーサスペンションのリジッドでフレームに直結されている。
たった49ccのエンジンなのに、とてもパルシブな鼓動を伴い、小気味よく加速する。
そう、エンジンはハーレー・ダビッドソンと同じOHVなのだ。

これほどにシンプルで気持ちの良いモーターサイクルは滅多に無い。
チョイノリ、良いオートバイだ。

さて、綱島街道から環八を過ぎてすぐに左折し、自由通りに入る。
約束の時間よりかなり早い。
ここら辺で休憩しようか。
我が街、自由が丘の緑道。
ここのモンソーフルール前のベンチが最高なんだ。
しかし奥沢からここまで、カフェやらトラットリアやらが立ち並び、目移りし止まれない。

そのまま自由が丘を通過してしまい、駒沢へ行けばまたあろう、と八雲のあたりに差し掛かったところ、交通標識の影に小さなノボリが。
フルブレーキングして止まる。


この佇まい。
何だここは。

潜入。

真っ白な大きな暖簾。
八雲茶寮というお店らしい。

茶室に案内される。
客人は私ひとり。
店内は撮影禁止。
Web上に上がっているのはお品書きの読めない海外の客人が撮ったものが多い。
湯注ぎの方に聞いたら、こっそり、と言ってくださった。

食事の他に、日本茶、和菓子、少しのお酒など。
本日の菓子を10種類ほど持ってきてくださり、そこから二品選んだ。

茶はやぶきた。
静岡県葵区黒俣、清沢西共同製茶組合、特選本山普通蒸煎茶。
甘みがあり、コクが強めなのに、澄んだ色が特徴。

湯注ぎの方が頃合いを見計り、三煎注いでくださる。
茶葉を休ませる間に蓋を半開きにするのは、蒸れ過ぎないようにするため。
きぃ房茶さんで教えてもらった。

三煎目を注ぎ終えた後に急須を下げようとするので、声を掛ける。
すると、良くご存知で、と整えてくれたのは。
極上の茶葉は、出し終えた後にお浸しとして食べると甘くて美味しいのだ。
普通はこうして提供はしないそうだが、急須の中の茶葉の様子がとても良かったので申し出たところ、良く分かっていらっしゃる湯注ぎの方は快く対応してくださった。

八雲茶寮。
建物、調度、接客、器、箸、そしておしぼりまで全て高次元だった。
丸首シャツで入るお店ではなく程なく時間も過ごし、ロシア人客と川奈帰りのスーツ紳士が見えたので失礼する。
っと、帰り際に見送りの人とワンセッショントークで次回の約束。

そして本日の目的地、三軒茶屋に到着。

走行距離は461km。
たったの32km。
しかしとても濃かったチョイノリ最後のグランド・ツーリング。

そう、今日でお別れ。
次のオーナーに手渡すためのツーリング。
キーを渡し、握手をして、すぐに別れる。
男同士のハナシは短いのだ。

彼はこの原点的オートバイで、良い旅をするだろう。
旅から帰って来たら、君の店のカウンターで美味しい一杯を入れてくれ。

Godspeed!

2014年2月3日月曜日

一番好きなベースは一番安いこの1本 ~ ピックアップ交換の夜なべ

以前紹介した私のエレクトリック・ベース。
いわゆるフェンダー・プレシジョンタイプ、というカローラのような楽器だ。

このプレシジョン・ベース。
いわゆるプレベ。
これはどちらかと言うと太く、丸く、甘い音。
現代的というより古典的な音色。

それはとても心地よいけれど、音楽によっては音色がマッチしないことがあるので、もう1本を、というのが多くのベーシスト。
けれども私はこの1本がとても気に入っている。
ノーブランドの安物だけれど、出会いも手触りも色も気に入っている。

ということで前回のペグに続き、今宵はピックアップを交換して音色を少し好みに近づけてみよう。

購入済のピックアップ。
プレベの交換用ピックアップとして定番の、Seymour Duncan SPB-3。
シリーズとしてSPB-1,2,3とあるけれど、一番音色の変化が大きい3を選んだ。

30年!近く張られ続けていた弦も交換。
これも超定番、DAddarioのEXL160。
今回購入(右)してみたら、パッケージが旧品(左)から変わって黒・オレンジになっていた。

夜が更けてしまう。
さっそく取り掛かろう。

弦を緩めピックガードを外す。
ネジは転げ落ちて無くすので、磁石皿に入れる。

ピックガードを裏返すとボリュームとトーンの回路が出てくる。
購入したピックアップの説明書の配線と若干違う。
この配線は各説あり、現状のコントロールもノイズも問題無いので、既設配線で行く。
詳細は撮影しておき、後に備える。
コンデンサーには1H473Kと見えるので0.047μF。
この緑のはあちこちのメンテ画像でよく見るタイプ。


ピックアップは外す前にセッティング寸法をメモ。
呑みながらだとメモらないとキチンと組めないから。

半田ごてで旧ピックアップの配線を外し、新ピックアップを取り付け、各部をクロスで磨きながら逆順に寸法通り組むだけ。

ピックアップ交換完了。
見た目が頼もしいSPB-3。
まずはピックアップ交換のみで試奏。
おぉ、全然違う。
そして弦も交換、そして試奏。
おぉ!このプレベからこんなブライトな音色が出たのは初めて。
全体として出力が上がり、音の芯がローからハイまで二回り太くなり、とても元気になった。
元々フィンガリングタッチが弱くて、音の輪郭が甘い方なので、うまく楽器に補完してもらえそう。
反応が良い分コンプ感が減ったので、出音の輪郭を良く聴きながらのタッチを要する。

どんな楽器でも自分の音色に出来るような、弾き”倒す”ほどの腕前では無いので、楽器と仲良くしないと。

さて、明日も早起き。
嬉しいからとあまり弾いていないで、休みましょう。

【追記】
スタジオのアンプで鳴らしたら、物凄い豹変が確認できた。
新弦というのもあるけれど、かなりブライトでパキパキ。
少し気恥ずかしい位だ。


弦高もそんなに低くないのにこれだけ出すSPB-3恐るべし。
タレた弦が好きなので、ゆっくりと様子見しましょう。

2013年12月2日月曜日

麦田トンネル入口3速10,000rpm>出口は2,000rpmに落とせ MYROはキミを待っている

横浜のピザといえば、最近中区方面でリバイバルブームな四角い薄いピザではなく、西口のシェイキーズというのが私らヤング世代の感覚だ。
四角いピザこそと言うのは50代超えだろう。

そして何故にピザは日本で不遇なのだろう。
大手宅配は相変わらず高値で、怖いもの知らずのハングオフで届けられたそれは、やはりどことなくションボリした体裁だ。

流行りの石窯・薪窯が美味しいのは分かっている。
でもイタリアでもメリカでも日常はもう少し違うのではないの?

そんなある日、ご縁あり私の元へ迎え入れた絵の作家、Ling Lueさんから、どうも気になるお話しを伺った。
それがこちら、石川町の「045 pizza MYRO」さん。

とにかくイイ、というお話しなのだ。
早速行ってみようではないか。
店内カウンターには数種のチリ系スパイスが並ぶ。
どこかで見た雰囲気。
そうだ、横須賀のナウリンズだ。

メニューはこんな感じ。
こ、コレは!?!

注文したのはPizzaとクラムチャウダーとドリンクの3品。

今日はハワイアンとほうれん草。
これは1ピースを半分に切ってもらったハーフ アンド ハーフ。
大きさが分かりにくいけれど、とても大きい。
そしてとても美味しい!
値段を見て少し不安になったのだけれど、これは超バーゲン!

テイクアウトの袋は、油が染みないよう内側がビニール引きの紙袋。
一枚一枚、お姉さんの可愛い手書きのイラストと、種類が描いてある。
1ピースがこの袋にメ一杯の大きさ。
これでサイズが分かるかな。
店頭の小窓から渡さず、ドアを開けて手渡してくれる丁寧さ。

詳細はあちらこちらに記載があるので、何も言わない。

忙しく手を動かすマスターと二言三言話すだけで、美味しい訳が分かる。
店主さまは、お店をとこのPizzaを愛してしまっているのだな。
あまりの暖かさにションボリシンドロームな私は大いに元気に。
こちらが仕事の通り道にあったなら毎日一食必死。
それほど気に入った。

これからどういう風にお店とお付き合いをしていこうか。
何だかこれは恋をしたような気持ちではないか、、