ひと月ぶり位かな、と思っていたらひと夏が過ぎていた。
その間に人々は私より何歩も先へ進んでいるのである。
あぁ恐ろしや、私の鈍感度。
そしてどこから知り申し込んだのかも忘れてしまったけれど、(株)音源出版さんのWebサイト、Phile-web主催のオーディオ機器新製品発表会へ行ってきた。
対象はオーディオ製品の中で現在唯一と言って良い盛り上がりを見せるヘッドフォンアンプ、そしてDAC(D/Aコンバーター)を組み合わせたMarantzの新製品「HD-DAC1」。
三連休の真ん中、行って来ましたD&Mホールディングス本社内のMarantzさん。
相模大野や横浜ビジネスパークにメンテ部門があった時には何度かお邪魔したけれど、今は川崎。
玄関をくぐると兄弟会社DENONの製品等と一緒に主要製品が展示されている。
まず会議室のような部屋に通され、そこで製品説明のプレゼン。
集まった16名は皆さん私より歳上な感じ。
プレゼンの前後に新製品を見たり
触ったり
そしてHD-DAC1のDAC部を使っての試聴。
この部屋はMarantzの音決めの大切な部屋。
開発者の方の名前を冠して「澤田ルーム」というらしい。
社内の面々も滅多に入れない部屋は、社有リソース私物化のと言ったら怒られそうなやりたい放題な部屋。
バイワイヤリングの4本の純銀スピーカーケーブルで700万円と言ってたか、もうこれはある意味コンプライアンス違反でしょ、と言いたくなるような、国会で是非が問われそうな
キチンとアナログレコード環境もある。
国宝製品、テクニクスSP-10MarkIII。
CD置き場化されていたけれど、、
そしてこの出音が弩級だった。
何度か行ったオーディオフェアや公会堂を借りての試聴会で、良い印象を受けた事が無かったのだけれど、ここの音は異次元。
HD-DAC1云々以前に、全てを整えるべく整えた環境の出音の総合力は音声再生技術のひとつの答え。
我が部屋のシステムもかなりのものだが、さすがメーカーリファレス室はヤリおるわい、、と感心しながらも、出音はやはり会社の中のひと環境、個人ではなく公人を感じたり、ふむふむと短い試聴時間が終了。
そして次に元のプレゼン室に戻りHD-DAC1をヘッドフォンアンプとして、ヘッドフォンを用いて試聴。
環境はMacBook又はCDPのSA8005>HD-DAC1>ヘッドフォン(試聴用にはHD-800)。
私はUSBメモリーにLPレコード音源を96/24で録音したものを持参。
一聴してヘッドフォンで聴く時の閉塞感が無い。
遅ればせながら、最近になり全うなヘッドフォンアンプとはこういう癖の無さがあると知った。
今まで
・ヘッドフォンなんてスピーカーに比べたら、
・聴き疲れするし、
と斜めに関わってきたのだけれど、こういう出音なら頭の上の物理的存在さえ許せれば、音を受け入れる事には何の問題も無い。
音場感も素晴らしいし、長く聴くこと出来る。
自室を大音量で満たすリスクとの天秤は確実に傾いたのである。
自室を大音量で満たすリスクとの天秤は確実に傾いたのである。
本機で面白かったのはインピーダンスマッチング機能。
スピーカーは多くが6~8Ωのインピーダンス。
それがヘッドフォンは数10~数100Ωと幅が広い。
それに合わせるための切り替えがあるのだけれど、主にフィードバックを可変させて対応させているとのこと。
そのフィードバック量により音色になかり変化があり、低フィードバック=奔放、高フィードバック=堅実、というような出音になるため、インピーダンスマッチングというより、音色セレクター的に楽しんで使ってもらいたい、とのこと。
この手の製品は価格帯、機能の組み合わせで百花繚乱・戦国区域だけれど、HD-DAC1は頃合いのいいところを突いていると思った。
会が終わって思ったのだけれど、この会は若い人に是非聴いてもらいたかった。
30年前にSONYがAPMスピーカーをデビューさせた時の日本中で行った発表会を思い出し少し残念。
しかしこれは私が購入し、近い人達に啓蒙しろという神の啓示であろうか。
オソロシイことである。
今回の視聴者には超特価モニター価格販売特典を望みたいほど欲しくなった逸品であった。
コメント
ヘッドフォンが高解像度、高Dレンジを稼ぎやすいのは理屈上そうなのですが、それが気持ちよく聴けたかと言うと、それが進化したのはヘッドフォンブームのやってきたこの10年位だと思います。
ここまでHi-Fiが分かりやすく身近になると、イノベーションに近いものを感じます。
但しやはり屋外聴取は別物ですが。